社会に貢献する素晴らしい人間作りに協力します。|池上公介の教育論|2003年度札幌タイムス掲載(全記事掲載中)

【第13回】
ピアスは、脳細胞の減少を3倍加速する。耳よりな話

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日本人の美意識は世界の中でも最たるもの、その極地といっても過言ではない。いや、「美意識の極地といっても過言ではなかった」と言い換えねばならないのかもしれない。

豊かな土壌と豊富な水、美しい四季に恵まれて日本人の美意識は育まれていった。長い歴史の中で洗練に洗練を重ね、「わび」「さび」の世界までも作り上げた。着物もその最たるもので、黒髪で体には何の装飾品もつけないのだ。お茶席では指輪や時計など一切身につけない。ここまでもってきたのは、日本民族だけではないだろうか。

西欧諸国でも耳飾りや首飾りをつけているし、民族の成熟度が下がれば下がるほど、体中に飾りがジャラジャラついていく。アフリカなどではそれがもっと極端になって、体を大きく傷つけたり、鼻にも耳にも大きな穴をあけ、大きな飾りをつける。腕輪、足輪にいたるまで、体中に色々と飾りをつけまくる。

その正反対にあるのが日本人である。その日本人がどうしたわけか、趣味の悪いレベルの低い美意識をまねしだしている。なんということだろう。いつの間にか日本人の美意識が下がってきているのだ。

30年以上も前、私が初めてアメリカに行った時、すでに底辺にいるヒッピーの若者たちが、ピアスをたくさんつけていた。ロックがはやり、アフリカのリズムとともに、アフリカの人たちの風習をヒッピーがまね始めたのだ。それを見た時、私はわが大和民族は、こんなばかなまねは絶対にしないだろうなと思った。ところが、ヒッピーのファッションを、まずアメリカの女性たちがまねをしてピアスが出始め、あっという間に世界に広がった。日本まで上陸するのに時間はかからなかった。

日本ではまず、浅はかにも女性たちが耳に穴を開け始めた。そして、若者たちに広がり出した。何もカッコいいわけでもないのに…。世界の貧しい国々の山奥の小さい村にでも行ってみると良い。おばあさんたちが必ずピアスをしている。自分の美意識の未熟度を示しているだけだ。

運勢的にも耳に穴を開けるのは良くないと言われている。先日もある見識の高い方と話をしていると、「池上先生はすでに気がついているでしょうが、運の強い人、運のきちんとしている人は絶対に耳に穴なんか開けませんよ。女性でも仕事上、上位にいる人や奥様たちでも、本当の意味で上流にいる人たちはきちんとイヤリングをしていて、ピアスなんかしません。もっと上流の人は、虚飾を廃して一切耳に何もつけません。よく気をつけて観察してみてください。耳に穴を開けるとその人の運が逃げていきます。人間的に底辺に流れていきます。運が悪くなっていきます」と断言した。

私の息子の一人が東京での大学時代、教授の下で耳のツボについて研究していた。たまたま親戚の結婚式があり、私は家内と上京した。数週間前から私は珍しく頭痛が続いていた。その日の朝も頭痛がひどかった。息子が「お父さん、どうしました」と聞くので、「いや、こんなこと無かったんだけど、数週間前から頭が痛いんだよ。今朝の頭痛は特別痛いんだ」と言うと、「じゃあ、ちょっと横になってみてください」と私をベッドに寝かせ、耳を触りだした。まもなく、「あっ、肩だ。肩がこっていて、頭痛になってるんですよ。すぐに治りますよ」と言って、耳をもみ始めた。5分間くらい続けているうちに、なんとスーッと頭痛が消えてしまった。私は感嘆の声をあげた。「すごいねー。そこがツボなんだ」と言うと、息子は「そう。ほら、ここは胃のツボ。そして、消化器系のツボ。耳には体のツボがびっしり広がっているんですよ。だから、その耳に穴を開けるなんて、大変なことなんですよ。ツボに関係する部位の機能が落ちて、最終的には病気になることもあるんですよ」。

耳に穴を開けるなんて、本当にやってはいけないことのトドメをお話しよう。

人間の体は60兆個の細胞で成り立っている。細胞は常に再生を続ける。だから髪の毛だって爪や皮膚だってどんどん新しく変わっていく。肝臓も手術で切っても、また増えて再生する。しかし、人間の体の中で再生しないどころか毎日減っていく細胞がある。どこだろうか。知っている人も多いが、意外と知らない人がいる。それは脳細胞だ。15億の脳細胞は毎日毎日減っていく。1日平均10万個が減っていく。多く減る人は15万個、少ない人で8万5千個と言われている。脳に常に刺激を与えている人と、刺激を与えていない人との差は大きい。だから、60歳代に入ってすぐにボケてくる人もあれば、90歳過ぎても頭がしっかりしている人もいる。

若いうちは毎日10万個づつ消えているが、何しろ15億もあるので、気がつかない。しかし、40歳代に入ると「あれ」とか「これ」とか、代名詞が多くなる。人の名前が出て来ない。「ほら、あの人さ…」「あの人って誰ですか」「あの人ったら、あの人ですよ。でないかな…」なんて会話になってしまう。

私の友人は60歳代に入っている人たちが多い。先日もある友人が、夫婦で車に乗って郊外のホームセンターに買い物に行った。着いた途端になんと、二人とも何を買いに来たか思い出せない。中を歩いていたら思い出すだろうと思ったので、二人でしばらく店内をぶらついたが何も思い出せない。結局何も買わずにがっかりしたそうだ。

この話を聞いた別の知人の女性は「私の東京の友達なんかもっとすごいのよ」と言う。

「私の家に千歳から電話が入ったのよ。友人は久しぶりに北海道に来たんだけど、千歳空港に着いた途端に何をしに来たのか思い出せない。あなた暇ならお茶でも飲もうと言うのよ。私びっくりしたわ。でも、私も似たり寄ったりの物忘れの激しさだけどね。だって、待ち合わせのお店に着いて、すっごくおいしいケーキとお茶を味わったのはいいけど、支払いの時にびっくりしたわ。だってお財布忘れてたんだもの。定期券で店まで行けたけど、お茶代は東京の友達に借りちゃったわ。今度会った時に返すわと言っておいたけど、次に会うのはいつのことやら。そもそも貸した方も借りた方もお互い覚えていることやら…」。

脳の刺激には語学が一番良いということである。スカンジナビアの老人クラブなどでは、語学をしている老人たちはボケないと言う。また、ボケ始めている老人たちには語学を奨励している。

さて、その反対に実は脳細胞を3倍も減らす方法があるのだ。早くボケたい人は、耳の穴をほじってよく聞いてほしい。ここから耳よりな話をするのだ。週刊誌でも書いてあったが、フランスの学者がショッキングな学説を発表した。実は1日平均10万個減る脳細胞の減るスピードを、3倍加速する方法がある。まず耳に穴を開ける。それに金属を通すことによって、磁場現象によって脳細胞の消滅が加速するのだ。そのスピードは通常の3倍。つまり、1日30万個も消滅することになる。早くボケたい人はどんどん耳に穴を開けて、いくつもいくつも金属をぶら下げると良い。

本当にばかな日本人が増えてきて、目に余る。日本人よ、しっかりしてほしい。

ばかな若者たちは、耳どころか鼻にも舌にもいたるところにピアスをつけて、もうすっかり未開発国の人たちそのものだ。なかには牛にまでなっている若者がいる。先日、高校を中退した息子を母親が連れてきた。見た途端に私はびっくりした。茶髪にピアス、そして鼻の穴に大きなピアス。鼻の左右の穴の間に金属の大きな輪がつながり、飼い牛のようである。

私はたずねた。「その鼻のピアスはどうやったの」と。すると母親が悪びれもせず「鼻の軟骨を削ったんだもね」と答えて、息子にこびを売る。「お金がかかるでしょう。どうしたんですか」と聞くと、母親がまた答える。「やりたいと言うので、私が全部出してあげました」。私はあきれて「きみ、それは牛だよ。みっともないから、勉強に通う前にそのピアスを取ってきなさい。先生は牛に勉強を教えることはできないよ」。

教育相談に来る親が、すでに壊れている。牛のようなそのみっともない姿を、なんとも思っていないのだ。

そして、茶髪。日本人が持っている美しい黒髪を、何が悲しくて汚い茶髪に染めるのだろう。芸能人やスポーツ選手のまねをして、若者たちはせっかくの黒髪を汚していく。外国の人は日本人の茶髪を一番気持ち悪いと異口同音で言う。「カラスの濡れ羽色」という黒髪の美しさを表現する言葉さえ死語になるのだろうか。

日本人に茶髪は似合わないのだ。神様はその人その人に一番合うものを与えてくださっている。神様は日本人の肌の色に一番合う黒髪を与えてくださっている。美容業界の分かっていない連中が「茶髪に染めると、顔が若々しく柔らかくなりますよ」などと言って商売をする。実は顔つきが柔らかくなるのではなく、ヘアカラーの毒性で頭がボケて、締まりがなくなっているだけなのだ。

茶髪や金髪に染めるヘアカラーには、非常に多くの有害な化学物質が含まれており、発がん性物質や各種臓器を痛めることは、すでに多くの研究機関が指摘している。当然、そんな毒性のあるヘアカラーが、体全体にも脳にも良い影響を与えるわけがない。北里研究所病院臨床環境医学センターの最近の調査では、ヘアカラーには「環境ホルモン作用」があることが判明した。「環境ホルモン作用」とは、体内での生殖などの重要な働きを担うホルモンに悪影響を与えることだ。ヘアカラーをマウスの皮膚に塗布すると、マウスの子宮が異常な収縮をし、重量が減少してしまうということが分かっている。ヘアカラーの生殖器に対する影響は大だ。使い続ければ、妊婦や成長期の子どもに悪影響を与えかねない。

不自然なことが体に良いわけがないのだ。日本人は自然のままの美しさを大事にしてほしい。余計なことを何もしない「スッピン」が一番美しいのだ。

【札幌タイムス2003年7月17日(木)(16日発行)から、許可を得て転載】

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