社会に貢献する素晴らしい人間作りに協力します。|池上公介の教育論|2003年度札幌タイムス掲載(全記事掲載中)

【第20回】
今いずこに。なんとか復活出来ないものか。ああ、大和撫子よ

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日本女性の美しさをたたえる言葉は色々あった。黒光りの髪の美しさを「カラスの濡れ羽色」とか「緑の黒髪」。また、容姿のさまを「立てばシャクヤク、座ればボタン、歩く姿はユリの花」など。さらに、内面も含めた総合的な日本女性の美しさ、その清楚さをたたえる言葉に「大和撫子(やまとなでしこ)」がある。

大和撫子の定義を引き合いに出すまでもなく、昔の日本人なら誰もが知っており、心底深く憧れを抱く言葉だった。しかし、その様子や精神がいつの間にか残ることなく消えて行ってしまったのも、我が国の残念な現状である。だいたい大和撫子と漢字で書いても、今の若者たちは果たして、正しく読むことが出来るのだろうか。多分「ダイワムシ」などと呼んでしまう者もいることだろう。そして当然、意味も分からないのではないかと、私は彼らに聞くのはこわい気がする。

私たち日本人が、長い歴史を通じて培ってきた「日本の魂」はすっかり抜けてしまって、表面上の過剰な豊かさと平和がもたらした現在の精神や文化の退廃は目を覆うばかりだ。せめて、身近な皆さんの奥様やお嬢さんたちには、ヤマトナデシコの片鱗を残しておいていただきたいと切に願う。

日本人が常に求めてきた精神と人そのものを、今、全ての日本女性に求めることは難しくなって来ているのだろうか。それを現在、求めるとしたら、中国やアジア諸国の、それも地方や田舎にいる女性たちの中に見いだすことが出来るようだ。

その恥じらいや清らかな心、清楚な姿に接し、何か懐かしい少年時代に戻ってしまったかのような気持ちに誰もがなるに違いない。気がついてみると、いつの間にか日本で今、そんなナデシコに会うのはとてもまれになり、多くの日本の若い女の子は大変身を遂げてしまった。それも悪い意味で。

昔から「アメリカ人の家に住み、中国人のコックを雇い、日本女性を妻にする」のが最高の理想の生活と世界中の男性たちに言われていた。それほど日本女性のしとやかさ、奥ゆかしさ、優しさの奥に秘められたしんの強さで、しっかりとした家庭の切り盛りをすることなど、数え上げたら、切りがないほどの美点が世界各国で言われ続けてきた過去がある。過去があると言わねばならぬほど、実は日本女性の地位は外国では下降の一途をたどっているのだ。

特に言われているのは、日本女性の貞操観念の欠如だ。海外では、不良外国人たちが「カモ」にするのは、日本女性が1番簡単だと言っている。若い女性が外国でレイプされる事件が多発している。事件として出てくるのは氷山のほんの一角にすぎない。発覚していない事件や被害はどれほどあることだろう。悲しいことだ。恥ずかしいことだ。情けないことだ。

外国人の男性から声を掛けられて、いとも簡単について行ったり、自分のホテルやアパートに連れて来たり、見知らぬ男にすぐ自分の電話番号を教えたりで、貞操観念以前のあまりにも幼稚すぎる無防備さは、いったいどうなっているのだろう。戦後まだ尾をひいている外国人コンプレックスと、一言で片付けるほど単純なことではない。

戦後の一時期、アメリカ兵が入って来た時など、一部の売春婦たちは別として、一般の日本女性はかたくなに身を守った。不幸にしてレイプされそうになり、自分の舌をかみ切ってまで、死をもって貞操を守った話などは、乱れ切って下品のドン底にまで落ちてしまっている今の一部の軽薄な若い女の子たちには、理解しろと言っても無理な話だろう。

先日も読んだ記事の中で、なんと某女性誌が18歳から29歳までの独身女性1286名を対象に行なったアンケート調査によると、37%の女性が過去に「その日に初めて知り合った男性と性的関係を持ったことがある」と答えていたと載っていた。私は間違いではないかと目を疑って、もう一度読み返したものだ。残念ながら間違いではなかった。

あちこちの週刊誌や雑誌には「一流企業のOL」とか「有名大学の女子大生」のヌードがはんらんし、己れの隠すべき初体験や男性経験など、なんの恥じらいもなく、ヌケヌケと話をしている。女子高生が「援助交際」と称して、売春行為を簡単にしている。あまりにも乱れていて、その乱れのはんらんの中で、そういったことになんの抵抗も感じないほど麻痺している。

名門大学の運動部やサークルのパーティーやらコンパでの集団レイプ事件など、恒例のように毎年起きている。これなどももちろん、男子学生が一番悪いにきまっているが、そういうところでは、そういうことが起きる可能性があるのを知っていて参加する女性にも問題がある。まともな女性なら、すきを見せず、防備する気持ちをどこかに持って参加するはずだ。あまりにもひどい昨今の若い女の子たちの無防備さ、無貞操には腹が立つ。これは深刻な問題だろう。

いつ頃から、こんな状態になって行ったのだろう。貞操、純潔という美徳がまるで流行遅れの言葉のようになり、「フリーセックス」という言葉がはやり出し、それが女性の地位の向上かのように、雑誌やマスコミがはやし立て、それに踊らされて、流れて行った結果だ。

アメリカで生まれたフリーセックスという言葉の意味は、誰とでも、どこででも、自由にセックスするという意味ではない。自分の意思で判断する自由さという意味である。フリーセックスという言葉を使った本家・アメリカの女性の方が、ずっと身もちは固いのである。

電車やバスに乗って、おばあさんたちが股を開いて座っているのを昔は随分見かけた。年を取ってくると、緊張感がなくなってくるのは仕方がないんだなあと思ったものである。その頃の女子学生たちは誰もが、皆キチンと両ひざをくっつけて座っていた。もちろんスカートは長かった。ところがどうだろう、現在は。女学生がミニスカートをはいて、大股を広げて座っている。中からパンツが丸見えで、目のやり場に困ってしまう。そして隣りのおばあさんはきちんと両ひざをくっつけて座っている。

このところ、私の授業中でも、スカートたけを短くしているのに、大股を広げて座っている女子生徒が随分見受けられるようになった。私はすぐに注意する。「両ひざをきちんとつけなさい」と言うと、どうしてなのかと不思議そうに私の顔を見る。羞恥心など、なくなっているのだ。

地下街などでも、地べたにべったり座って股を広げているのが普通であるのかのような、女の子たちを多数見つける。

家庭でも、学校でも、貞操教育や純潔教育など、なくなってしまっているのだろう。

やはり、なんと言っても家庭でしっかりと小さな時から教え込まなければならない。彼らは何も教えられていないのだ。1歩外に出たら、とんでもないことが普通であるかのごとくに、性的情報がはんらんしているのだから、家庭がしっかりしてもらわないと、どうにもならない昨今なのだ。

オブラートに包んで、援助交際などという言葉がまかり通っているが、売春は売春だ。それがどんなことなのかを、きちんと親がたたき込まねば誰が今、教えるのか。とにかく、若い女の子たちがいとも簡単にお金で身を売ってしまう。警察で保護されても「減るわけでないし、人に迷惑かけてないもの。何が悪いのサ」と軽く返してくると言う。そんな女の子の年齢が下がって来ている。高校生から中学生、小学生までとなって来ている。

昔は、「くるわ」などで身を売る女性たちは「苦界に身を挺す」と言って、本当に悲しい、つらい身分だった。そしてそれが、どんなことなのかを皆がよく知っていたはずだ。常にその悲話が巷で語られていて、少女の頃から、身を売るということが、どんな悲しいことなのかを教えられて来たのである。

それが、現在の日本において、そんな感覚のひとかけらもない女性たちが増えて来ている。まともな日本女性にとって誠に迷惑な話だ。同性である女性たちが、女性たちの足を引っ張っているのだ。

何が恥ずかしいことなのかを分からない親たちが増えている。そんな親からどんな子どもたちが出来るのか。先日も、ある高校の先生が嘆いていた。親が高1の娘を退学させたいと言ってきた。「いやー、うちの娘、妊娠したんですよ。中学時代の先輩が相手なんですよね」と、しゃあしゃあとまくし立てたと言う。

「お母さん、それは聞かなかったことにします。そんなこと、人に言うものではありません。娘さんの将来にもかかわることなんですよ」と諭したとのこと。「恥の文化」と言われた日本はどこに行ったのか。

今や外国で、日本女性は世界で1番尻の軽い女と見られはじめている。ロンドンやローマやパリの街角で、日本女性が不良外国人たちから声を掛けられて、目をキラキラさせてついて行く。世界広しと言えども、こんなに簡単に安易に引っ掛かるのは、多分日本女性くらいだろう。そしてそれにお金も持っている。「カモがネギをしょっている」とは、まさにこのことだろう。体も奪われ、おまけに金も奪われて。日本女性も地に落ちたものだ。

ああ、大和撫子よ、今いずこ。なんとか、大和撫子を復活出来ないものか。

戦後、失ったものは多々あるが、その中でも1番は「日本の心」であろう。これを1日も早く取り戻さなくてはならない。現代の親たちは、子どもに残す財産を金や物と思い込みすぎてはいないか。

本当の遺産とは、私たち日本人が子々孫々伝えてきた物の考え方、生活の仕方、しつけなどを通して伝承してきた資質以外に何があろうか。親たち、大人たちが日々の生活の中で、自からの行動を通して、子どもたちに話し聞かせて、伝えて行くことこそが本当の財産、最高の遺産と言えるだろう。これなくして日本の真の復活はないだろう。

【札幌タイムス2003年9月4日(木)(3日発行)から、許可を得て転載】

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