【第36回】
大人の学校。年配の方でも、高校卒業資格を取れます
マスコミ各社で報道されたので、ご存知の方も多いと思うが、12月4日についに池上学院高等学校が正式に北海道の認可をいただくことができた。これで平成 16年4月の開校が正式に決まったわけである。毎日、池上学院高等学校に対する問い合わせが数多く寄せられ、対応にてんてこ舞いで、うれしい悲鳴を上げている。
11月2日に札幌コンベンションセンターで開催した保護者と生徒対象の「池上学院高等学校」の学校説明会には、211名もの参加をいただいた。当初数十名くらいの参加と見込んでいたが、申し込みがものすごい量で、急きょ一番大きな会場を手配し、180名までは対応できるようにしたが、211名の参加は予想をはるかに超えていた。結局、補助席を用意して、参加者の方々には多少狭い思いを我慢してもらう説明会になった。皆さんの池上学院高等学校に対する関心はきわめて高く、熱心な質問が多数寄せられた。
その後も、毎日のように問い合わせが来ているが、最近では年配の方からの問い合わせもたまにある。たとえば「自分は50歳にもうすぐなるが、池上学院高等学校は通信制だそうだが、自分のような者でも入学することができるだろうか?」といった内容だ。
そういった問い合わせがあることを聞いて、私は「もしも、『大人のための学校』をつくったら、どうだろうか?」ということを先日思いついた。私の知人の経営者たち(60歳前後)を見ても、実は中学校卒業までしか学歴が無い人が何人もいる。おおざっぱに言って、60歳前後の人のかなりの割合が中卒止まりなのではないだろうか。
こういった人の中には「高校卒業資格が欲しい」または「高校に通い直したい」という気持ちのある人がずいぶんといるのではないだろうかという思いがする。実は他の通信制高校のM先生と話したときに、こんな話を聞いた。
「あのですね、池上先生。以前の話ですが、60歳くらいの主婦で、うちの通信制高校に通ってきた人がいたんですよ。真面目な人でして、一生懸命通ってましたよ。よくこの年でがんばるな、と不思議に思ってたんです。それで、ある日『どうしてあなたくらいの年になって、わざわざ通信制高校に通うんですか』って聞いてみたんですよ。そしたら、その奥さんね、じーっと私の顔を見てから『私は中卒なのがずっと心の重荷になってたんです。子どもは大学まで行ってます。孫もいますから、孫も学歴を積んで、そのうち大学まで行くでしょう。その時におばあちゃんは中卒だよ、とは言いたくなかったんです』と答えられたんですよ。いやね、池上先生、私はその奥さん偉いもんだなーと思いましたよ」
私はその通信制高校の先生に聞いた。
「ところで、M先生。毎年、そういった年配の生徒さんは通信制高校に結構な数いらっしゃるんですか?」
「いいえ、うちの高校でも年に2、3名ですよ。めったにいませんよ」
その時は、これで話は終わった。しかし、私はずっと考えていた。「実は高校に通い直したいという年配の人は、結構いるのではないだろうか。ただ、通いやすい環境が無いだけなのではないだろうか。年配の人でも通いやすい環境をつくれば、かなりの数の年配者が高校に通うようになるのではないだろうか」と。
というのも、私のイングリッシュ・クラブ(英会話教室)での経験があるからだ。最初は子どもたちを教える英会話教室だったが、ある日お医者さん数名からこう頼まれた。
「池上先生、お願いがあるんです。我々医師数名で集まりがあるのですが、そこで何とか池上先生から英会話を教えてもらえませんでしょうか。我々医師は世間から英語が出来るものと思われていても、実は英語がまるで出来ない者が多いんです。ところが、そのイメージが強くて、今さら他の人や若い人に混ざって一般の英会話教室に通うことは気恥ずかしくてとても出来ないんですよ。それに、英会話を学ぶなら、ぜひ池上先生から学びたいんです」
そんな経緯から、お医者さん十数名だけの特別英会話クラスを開講していた時期もあった。また、ある時は私のイングリッシュ・クラブに子どもを通わせているお母さんから、折り入って相談があると言われたことがあった。
「池上先生。いつも子どもが大変お世話になっております。おかげさまで、英語がどんどん上達して来ました。そこで、ご相談なんですが、実は私も英会話を習いたいんです。といっても、子どもたちにまさか混ざるわけにいきませんから、母親だけの英会話クラスをつくってもらえませんでしょうか。もう知り合いのお母さんたちに声をかけていて、1クラス分はぜひ池上先生に習いたいと言う方々が集まってるんです」
翌月から「奥様クラス」という名前で新しいクラスが開講した。開講してみれば、このクラスも大人気で、希望者が殺到した。
通いやすい環境をつくれば、学びたい人は集まってくるのだ。
私どもは来年4月には通信制高校「池上学院高等学校」を開校するわけだが、もしも、年配の方の通学ニーズが潜在的にあるとすれば、どうやったら年配の人たちが通いやすくなるだろうか考えてみた。
例えば、私どもの教員には、定年を超えた校長先生や教頭先生の経験者を数多く配置する予定だ。つまり、60歳を超えた先生が多数いるわけだ。若い先生に教えてもらうのは気恥ずかしい、という年配の方も、自分とほぼ同じ、または自分以上の年齢の先生ならば、安心して勉強を習うことができるのではないかと思う。
また、年配の方だけのクラスというのも、通いやすくなるかもしれない。勉強の進み方が遅いので、ほかのクラスの人に迷惑をかけそうで気にしてしまうという方も、池上学院高等学校では個別指導を充実させるので、1人ひとりに合った勉強の進め方ができる。
足腰が悪く、車椅子なので、なかなか通学が難しいという年配の方もいるだろう。しかし、池上学院高等学校は全館がバリアフリー(段差が一切ない)なので、車椅子でも楽に入れるし、エレベーターが通っているので、車椅子で全階に行くことができる。また、多目的トイレもあるので、車椅子でも心配がない。あらゆる人に勉学の機会を与えたいという思いから、校舎をこのような設計にしたのだ。
さて、通信制高校の仕組みがよく分からないという方も多いと思うので、簡単に説明しよう。
通信制高校は「リポート」と呼ばれる報告課題を、決められた期日までに提出することになっている。リポートの作成の指導を受けるために、年間20日程度の登校日がある。この20日程度の登校日は「スクーリング」と呼ばれており、この20日は必ず登校しなくてはいけない。さらに、「テスト」が年2回実施され、このテストで合格点を取ればよい。そうして、3年間で74単位以上取れば卒業となる。
これが通信制高校の仕組みの簡単な説明だ。
しかし、自力でリポートを作成するのは困難なことだ。そこで、池上学院高等学校では月曜から金曜までいつでも教師がいて、学習の指導をしてくれるコースを用意している。これならば、分からない個所があれば、いつでも教師に質問に来ることができるし、教師と一緒に勉強をすることもできるのだ。むろん、分からないところがあれば、電話やファクスで質問をすることもできるだろう。これはかなり理想的な学習システムだと思う。
「もしも、単位を落とした時に、留年してしまうのがかっこ悪い。1年余計にやり直さなくてはいけない」と思う人もいるが、実は池上学院高等学校は「通信制」であると同時に「単位制」なのだ。単位制とはどういうことかというと、「留年」がない仕組みのことなのだ。もしも、1つの科目の単位を落としたとする。普通の高校ならば、留年で1年間やり直しだが、池上学院高等学校の場合は、翌年落としたその科目を上乗せして学習し、単位を取ればいいだけなのだ。だから、よほどいい加減でなければ、きちんと3年間で卒業することができる。そうそう、通信制高校はみな4年間以上卒業にかかると考えている人も多いが、実は池上学院高等学校は3年間で卒業ができるのだ。このことを伝えると、「えー、そうなんですか!通信制高校だから、卒業には4年以上かかるものだと信じ込んでました。池上学院高等学校は3年間で卒業ができるんですか。それはスバラシイ!」と驚く人が多い。
また、池上学院高等学校は入学がいつでもできるのが特徴だ。通常の高校だと4月にしか入学はできない。しかし、これでは「学習をしたい」「高校に入りたい」と思った時に迅速に対応できない。せっかく学習意欲が出て、今なら通えるというタイミングをつぶしてしまうのはもったいないことだ。その貴重なタイミングをしっかりと受け止めたいと思い、1年間のうち、いつでも入学できるように池上学院高等学校はしたのだ。
勉学に終わりはない。いくつになっても勉学は続けられるのだ。年配の方で勉学の意思のある方、高校卒業の資格を手にしたい方は、ぜひ新たな高校生活をつかんでほしい。
この文章を読んで、池上学院高等学校に興味を持たれた年配の方は、メールでもファクスでも電話でも、ご意見、ご感想、問い合わせをぜひいただきたい。皆さんの声を積極的に受けていきたいと思う。
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